日本における究極の和食と言えば、精進料理だろう。精進料理とは、肉や魚、卵など動物性の食材を一切使わず、野菜や豆腐など植物性の食材のみで作られた料理のこと。もともと仏教における修行僧の食事だったが、近年は一般に健康食としても注目されている。
精進料理は大きく2種類に分かれ、一方が鎌倉時代に曹洞宗を開いた道元が持ち帰って伝えた「永平寺流」と呼ばれる精進料理。そしてもう一方が、江戸時代初期に京都・宇治の萬福寺、黄檗宗を開いた中国・明の隠元禅師が伝えた「普茶料理」だ。
普茶料理が精進料理と異なるのは、1人1膳の銘々膳でなく、中国式に大皿で取り分けるスタイルであること。また、飲食平等の趣旨を持つため、食そのものを楽しむというのが普茶料理です。見た目も楽しく、色とりどりなのも特徴の1つ。350年以上の歴史を持つ。
料理の一例として、「箏羹」(しゅんかん)という豆腐と季節野菜などの煮付、「揚油」(やんうー)という野菜の味付け天麩羅、「麻腐」(まふ)と呼ばれる胡麻豆腐など。精進料理に使われる食材で魚や肉を模した料理「もどき料理」も普茶料理の特徴で、「鰻の蒲焼もどき」「角煮もどき」などとして提供される。
肉や魚などを使っていないと聞くと、最初はヘルシーかつボリュームも控えめという印象を受けるものの、いざ食べ始めるとどの料理も食べ応えあり、旬の食材を使っているためじっくりと味わうとより美味しく感じて、結局満腹に。
中には、蘭の花をそのまま天ぷらにした変わった料理なども提供され、どんな味だろうかと食べる楽しさも。
京都市北部の鞍馬口にあり、1671年に開山した後水尾法皇ゆかりの禅寺、黄檗宗の「閑臥庵」では、本格的な普茶料理を提供。料理内容はその時季、食材の仕入れによってメニューが変わる。特に夜は庭園がライトアップされ、幻想的な雰囲気の美しい庭を眺めながら、普茶料理が楽しめるのでおすすめだ。
法皇ゆかりの品々、チベット密教の高僧が制作した砂曼荼羅、陰陽師・安倍晴明開眼の北辰鎮宅霊符尊神なども見学できる。※砂曼荼羅はじめ、本堂の飾り棚内の展示品など一般撮影禁止。特別に許可を得て撮影。
■閑臥庵 公式サイト
https://kangaan.jp/
■「そうだ 京都、行こう。」禅と湯 ととのう京都
https://souda-kyoto.jp/other/totonou/
(2022年1月7日〜3月13日)
■京都デスティネーションキャンペーン「京の冬の旅」
https://ja.kyoto.travel/specialopening/winter/2021-2022/
(2022年1月1日〜3月21日)
※お出かけの際は行政による移動自粛についての最新情報や各施設の営業情報をご確認ください。
(Written by A. Shikama)