先日、2022年本屋大賞のノミネート作が決定しました。
本屋大賞とは「売り場からベストセラーを作ろう」という思いから2004年に設立された、書店員の投票だけで選ばれる賞です。1年以内に発表された本の中から選ばれ、過去の受賞作はその多くが映画化されており、非常に注目度が高い賞です。2022年の大賞発表は4月6日となっており、気になる方は候補作を読んでみて大賞を予想するというのも楽しいかもしれません。

【2022年の候補作はこちら】
『黒牢城』米澤穂信
『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬
『正欲』朝井リョウ
『夜が明ける』西加奈子
『星を掬う』町田そのこ
『赤と青とエスキース』青山美智子
『スモールワールズ』一穂ミチ
『硝子の塔の殺人』知念実希人
『六人の噓つきな大学生』浅倉秋成
『残月記』小田雅久仁

ということで本家本屋大賞に便乗して、ニッチー編集部も「ニッチーからベストセラーを作ろう」を目標に、勝手に『ニッチー本屋大賞2022』を開催します。
『ニッチー本屋大賞2022』はニッチー編集部が独断と偏見で「ニッチーを読んで本屋さんに行って買ってほしい」をテーマに、大賞含め5作品を選出しました。
本家は過去1年に発売された本が対象ですが、ニッチー本屋大賞は「なんとなく1年以内くらいに発売、でももっと前でも面白ければOK」された本を対象としました!

それでは5位から発表します!!!

第5位『イルカも泳ぐわい。』加納愛子(2020年11月)

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【概要】
Webちくまの人気連載「何言うてんねん」に、初の短編小説「帰路酒」他、書き下ろしを加えた全40篇を収録した初のエッセイ。
【選出理由】
・帯にも書かれている「医者を演じることはつまり、女医を演じることになってしまう」というたった一文で加納さんの行動原理がわかる。個々の一文で女芸人という言葉への葛藤が見て取れる!
・話し言葉で書かれているので、脳内で加納さんの清々しい関西弁で再生される。書きながらここでテンション上がったんだなとかテンポ感まで感じ取れてしまって本を読んだというより加納さんの話を聞いている気分になる!
・「一旦十三時で」では、それぞれの時間帯に感じる○○感を羅列していて、そこに目を付けるのか、この話題でそこまで広げられるのかという思考の道筋がおもしろい。

第4位『残月記』小田雅久仁(2021年11月)

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【あらすじ】
近未来の日本、悪名高き独裁政治下。世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。
「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない。本家本屋大賞ノミネート作品。
【選出理由】
・臨場感たっぷり、リアリティのある物語で読み進めるほどに世界に没入していく!ただのタイトルパロディ作品ではない!
・3編すべてが月にまつわる物語…読み終えると月を見るのが怖くなる!!!

第3位『金木犀とメテオラ』安壇美緒(2020年2月)

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【あらすじ】
北海道の女子校を舞台に描く直球の青春長編。
12歳の春。東京出身の宮田佳乃は、家庭の事情で北海道にある中高一貫の女子校に入学する。しかし、秀才でプライドが高い彼女には、受け入れ難い進路だった。一方、地元出身の奥沢叶も、新入生総代に選ばれるほどの優等生。パッと目を引く美少女で誰もが羨む存在だが、周囲には知られたくない秘密があり…。
【選出理由】
・学校や友達が“世界の全て”のように思えて、複雑な背景を背負いながら苦しみ生きていく…中高生時代を思い出すかのような瑞々しい青春小説!
・魔法は使えないし、ヒーローも現れない。悩んで苦しんで、もがきながら努力を重ねて前に進むしかない。大人になった我々の心にも突き刺さる物語!

第2位『塞王の楯』今村翔吾(2021年10月)

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【あらすじ】
「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!
越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられ、穴太衆(あのうしゅう)(石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられる。やがて匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考え、石積みの技を磨き続ける。
秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任され…。第166回直木賞受賞作。
【選出理由】
・武将や大名が主人公ではなく、名もなき一般人が主役。それなのにワクワクハラハラが止まらない!
・史実とフィクションを織り交ぜ、スピード感がある展開。ページをめくる手が止まらない!
・殺伐とした戦国時代が舞台だが、悲壮感がなく娯楽小説として楽しめる!

1位『イクサガミ 天』(2022年2月)

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【あらすじ】
明治11年。深夜の京都、天龍寺。「武技ニ優レタル者」に「金十万円ヲ得ル機会」を与えるとの怪文書によって、腕に覚えがある292人が集められた。
告げられたのは、〈こどく〉という名の「遊び」の開始と、七つの奇妙な掟。
点数を集めながら、東海道を辿って東京を目指せという。
各自に配られた木札は、1枚につき1点を意味する。点数を稼ぐ手段は、ただ一つ。
「奪い合うのです! その手段は問いません!」
剣客・嵯峨愁二郎は、命懸けの戦いに巻き込まれた12歳の少女・双葉を守りながら道を進むも、強敵たちが立ちはだかる。文庫オリジナル、3巻完結・新シリーズ開幕の1巻!
【選出理由】
・歴史の知識が無くても楽しめる!!!
・個性が際立ったキャラクター、臨場感と迫力があるバトルシーン、怒涛の展開が続く侍バトルエンターテインメント!
・「歴史モノはちょっと…」と時代小説を読まない人や若い人にこそ手に取ってもらいたい一冊!


ということで、『ニッチー本屋大賞2022』は今村翔吾さんの『イクサガミ 天』に勝手に決定致しました!
ぜひ皆さんも本屋さんで購入して読んでみてください!!!

(Written by 大井川鉄朗)