新型コロナウイルスの感染拡大によって社会は大きく変わり、それにともない労働環境も大きく変わりました。また、最近ではウクライナ侵攻によってエネルギー価格が高騰するなど、様々な影響がでています。このような誰もが予想することができなかったことが起こり、急激に変化する現実を乗り越えるために、企業は新たな課題に直面しています。デジタル化、グローバル、働き方改革の諸課題への対応をするべく、全国社会保険労務士会連合会がオンラインイベント「HR INNOVATIONS 2022」を開催しました。

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■デジタル化が生み出す人事労務戦略イノベーション
慶應義塾大学大学院商学研究科教授の鶴光太郎氏による基調講演では、働き方改革は長時間労働を削減するだけでなく、時間当たりの生産性を向上させることを両立させなければならない。そのためにはICTを徹底活用し、すべての情報をデジタル化させてペーパーレスすることが第一歩。デジタル化は仕事のブラックボックス化を解消し仕事の標準化を促進するものだという。さらには時間や場所にしばられない働き方を可能にし、ホワイトカラーの生産性をインプットとアウトプットの「可視化」によって仕事のやり方を変えることが必要と訴えました。また、人力に頼らず新たなテクノロジーであらゆる限界を突破し、ジョブ型雇用を取り入れること、そしてデジタル化と多様で柔軟な働き方を推進するうえで重要な社会保険労務士の役割に期待を込められました。

■「ビジネスと人権」が企業に与えるインパクト
国際労働機関(ILO)駐日代表の高真一氏の講演では、昨年10月のG7貿易大臣会合でサプライチェーンでの強制労働に関する共同声明が採択されたことをうけて、欧米企業の人権尊重責任を貿易制限によって達成しようとする動きにつながっているそうです。また、2006年に国連が責任投資原則を提唱して以来、株式市場でも労働者の人権と福祉に関連する対応が強く求められるようになりました。これらの対応は株式市場からの評価だけでなく取引に影響するようになり、企業価値の維持向上のためには取り組まざるを得ない中核的コンプライアンスとなりました。この世界的な潮流を持続的成長に向けたチャンスととらえて取り組みを推進してほしいと締めくくりました。

■働き方の革新を通じた「人を大切にする企業」づくり
男性の育児参加をテーマとした座談会では、海外のベビー用品などを扱い30年も前から男性の育児参加を促すとともに多様な働き方の実現に注力してこられたダッドウェイの栗田京子氏が登壇。最近ではコミュニケーションの活性化による新発想の創出のために今年3月からフレックスタイムと1人の社員が複数の業務を担うマトリックス組織を開始。男性の育児休暇の取得は自信の包容力を高めると同時に若手社員の育成にもつながるため、かけがえのない子育て期を楽しんでほしいと想いを語りました。

経営者だけではなく、労働者側にとっても注目すべき内容だと思います。各それぞれのアーカイブページでは第一線で活躍する経営者や専門家によるパネルディスカッションも紹介しているので興味のある方はご覧になってみてはいかがでしょうか。


デジタル化が生み出す人事労務戦略イノベーション
アーカイブページ:https://channel.nikkei.co.jp/hr_digital/

「ビジネスと人権」が企業に与えるインパクト
アーカイブページ:https://channel.nikkei.co.jp/hr_global/

働き方の革新を通じた「人を大切にする企業」づくり