キャプチャ

9月27(火)、日本武道館にて安倍晋三元首相の国葬が執り行われます。
戦後、天皇・皇后以外で国葬が行われたのは吉田茂元首相に次いで2例目だと言われています。たしかに、日本国内で考えるとそうですが、海外も含めると日本人で国葬された人は実は他にもいるのです。

◆「ブータン農業の父」と呼ばれる西岡京治さん
1992年にブータンで国葬が執り行われたのが西岡京治さんです。
西岡さんは1964年に海外技術協力事業団(現JICA)の専門家としてブータンに着任しました。
当時のブータンは国民の大半が農業で生計を立てているにも関わらず、土地も狭く、高地で気候も厳しいため、たいへん厳しい状況だったといいます。
西岡さんはこうしたブータンの問題に真っ正面から取り組んで、28年もの長きに渡ってブータンの農業指導に自分の人生を捧げました。
西岡さんは大根や白菜など日本から持ち込んだ野菜の栽培が成功し、人々が自給自足から換金農業に変えるきっかけを作りました。さらに南部の焼き畑農業を水田耕作に切り替えさせ、米の増産と森林保護に貢献しました。
1980年には、国王から英国の「サー」にあたる称号「ダショー」を外国人として初めて贈られています。
1992年に西岡さんは腎不全で亡くなりましたが、葬儀は王族や閣僚も参列する国葬が執り行われました。現在でも「ブータン農業の父」として現地で尊敬されています。


(written by 山崎健治)