12月18日(日)、小田原駅の真裏に旧大雄山線管理事務所を改装した「大雄山線駅舎 カフェ1の1」がオープンした。先立って開催されたメディア向け発表会の様子を紹介したい。

1

「大雄山線駅舎 カフェ1の1」が入るのは伊豆箱根鉄道 大雄山線の管理事務所として使われていた建物だ。今年6月まで活用されていたが、老朽化により移転。取り壊すことなく、街の資産として活かしてほしいと、伊豆箱根鉄道より同カフェを運営する株式会社相州村の駅に声がけしたことがはじまりという。カフェがあるのは大雄山線小田原駅の真裏。店内からは電車の到着音やホームのアナウンスが聞こえ、鉄道ファンにはたまらないロケーションに違いないだろう。

2

大雄山線は小田原駅と大雄山駅を結ぶ9.6kmの路線で、3両編成の電車が12分間隔で運行する。もともとは大雄山最乗寺への参詣を目的に1925 年 (大正 14 年)に開業した参詣鉄道であり、かつては道了尊に因んで“道了電車”と呼ばれていた。現在の小田原駅となったのは1934年(昭和9年)とのこと。駅の真裏にあたる、1 丁目 1 番地に80年以上佇んでいたのが旧大雄山線管理事務所であった。

3

カフェのコンセプトは「街のくつろぎ待合室」。オープンに際しリノベーションされたものの、管理事務所時代の趣が随所に残され、店内は昭和レトロな雰囲気に満ちている。広さは約100平米。テラス席を含めると最大44名収納可能だ。

伊豆箱根鉄道で使用されていたつり革や車内非常ボタン、運転レバー、切符などが配されており、訪れれば古き良き時代にタイムスリップした気分になるだろう。かつての駅長イスは客席として活用され、撮影スポットとしても注目を集めそうだ。

4

メニューにもこだわりが光る。「三浦赤たまごと足柄牛ハンバーグ贅沢オムバーグ(1760円)」や「湘南たたみいわしと浅利の和風ボンゴレ(1155円)」など地元食材をふんだんに使用。フレンチトーストは近隣の「守谷製パン店」の食パンを用いるなど、地域とのつながりも重視した。

5

三浦産赤たまごを使用した「焼きチーズカルボナーラ(1375円)」。コクのあるホワイトソースと旨みあるベーコン、とろける温玉のハーモニーが見事な一品だ。

6

凝縮した肉の旨みを存分に堪能できる「足柄牛100%ハンバーグデミグラスソース(1650円)」。噛み締めるごとに肉汁が口の中に溢れ出る。

7

「三浦赤たまご とろけるスフレパンケーキ(1650円)」は焼き立て直後にカスタードソースとバニラアイスをテーブルにてトッピング。エアリーな食感とやさしい甘味が調和し、えもいわれぬおいしさだ。


8

テイクアウトメニューも販売。レトロな瓶入りの「駅舎プリン」は、懸け紙や切符風のタグ、1両編成の電車に見立てた箱など、お土産にもピッタリなビジュアルだ。フレーバーは「カラメルプリン」「黒いビターチョコプリン」「コーヒー牛乳プリン」「クリームソーダプリン」「ミルクチョコプリン」 の5種。定番から個性派まで多彩な味を楽しめるのもうれしい。

9

カフェオープンを記念し、現在では使われていない「硬券切符」を100枚限定で配布する。12月18日(日)、24日(土)、25日(日)に各日先着で30枚~40枚を配布予定。希望する場合は、来店時にスタッフに声をかけてほしい。

店長の山川雄大さんは「ターゲットは高校生からご高齢の方、さらに地元の方から観光客まで、幅広い層を想定している。オープンをきっかけに商店街を元気づけ、ゆくゆくは全国へ小田原の魅力を発信していければ」と意気込む。

店内にはオリジナルの大雄山線沿線マップも用意。おすすめスポットが可愛いイラストとともに描かれている。カフェでゆったり寛いだ後、沿線マップを片手に大雄山線を散策するのもいいだろう。