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6月4日、東京ドームでプロ野球セパ交流戦・巨人対日本ハムの試合が行われた。
日本ハムの先発、北山亘基投手が0-1とリードされた2回に、2アウト1、2塁で打席に。これがプロ初打席だった北山投手だが、カウント2-2からの5球目、巨人の先発、松井颯投手の148キロの高めストレートを打ち返すと、打球は三遊間を抜けてタイムリーヒットに。その後もタイムリーを放ち、北山投手は2安打2打点、投げては7回101球を投げ3失点という好投を見せ、チームの勝利に貢献した(巨3-10日)。
ファイターズの投手が2本のタイムリーヒットを放ったのは1974年8月7日のケキッチ投手以来。あの大谷翔平投手も先発登板した試合で2本のタイムリーヒットを記録したことはなく、かなり久しぶりの記録となった。

今回の北山投手は1試合2打点。十分過ぎる打撃成績だが、上には上がいる。二刀流大谷翔平投手は登板日では無いものの、日本での1試合最多打点は5。メジャーリーグ移籍後の2022年6月には1試合8打点をマークし、井口資仁選手、松井秀喜選手が記録した日本人1試合最多打点記録となる7を超えて日本人最多記録となった。

しかし上にはさらに上がいる。投手の1試合最多打点記録を保持しているのは川崎徳次さん。南海、巨人で活躍した投手で、なんと1試合9打点をマークした。
川崎さんは1940年10月に南海に入団し、12月にプロ勝利を記録。42年に太平洋戦争に召集され、激戦を生き残ったものの、1年間捕虜として過ごし、46年に復員。巨人と契約を結んで復帰すると、47年にはチームの勝ち頭となる24勝を挙げた。

投手最多打点を記録することになった1949年4月26日の巨人対大映戦。この日試合が行われたのは金沢市の兼六園球場。この球場は両翼が91m、センターまでが100mもない激狭の球場で行われた。現在12球団で1番狭いと言われるファイターズの新球場エスコンフィールド北海道は左翼97m、右翼99m、センターまでが122m。比べてみてもかなり狭い球場であったことがわかる。

川崎さんは「9番・投手」で先発し、2回2死満塁の第1打席で右前適時打でまずは2打点。3回2死満塁では右中間へ逆転のプロ初本塁打。7回に再び逆転となる右翼へ2ランを放ち、同点の8回には大映の中堅・小鶴誠さんが天を見上げる勝ち越しのソロ本塁打で3本塁打9打点とゲームのような成績を残した。
一方の投手・川崎さんは…1回に本塁打2本などを浴びて4失点。3回、4回、7回、8回、9回にも本塁打を打たれ、計8本13失点と大炎上。巨人が遠征に投手をあまり連れてこなかったため、不調の川崎さんは完投しなければならなかったそう。
結果、川崎さんは完投し、15-13で巨人が勝利。川崎さんの打点がなければ大敗だった。

1試合最多打点記録の他にも
・1試合8被本塁打
・13失点完投勝利
・投手による1試合3本塁打
と打点記録を含めNPB記録を1試合で4個も築き上げた。ここまで両チームが打ちまくった試合の試合時間がどれほどのものだったのかも気になる。

北山投手には最多打点記録更新を目指して今後も打ちまくってもらいたい。

(Written by 大井川鉄朗)