静岡は「缶詰王国」である。実は、静岡市には「清水食品(SSK)」「はごろもフーズ」「いなば食品」など缶詰メーカーが10社以上あり、まぐろ類とかつお類の缶詰生産量がそれぞれ全国1位でシェアは97%。100%を誇る(※)

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その缶詰の歴史は、「清水港」から始まったといっても過言ではない。

「フェルケール博物館」では、清水港に関係する船の模型、航海に必要な船舶関連品、港湾で働いていた人たちが使用していた荷役道具などで、港の歴史や役割を一堂に展示して紹介する。レンガ造りの外観がレトロかつ歴史さも感じさせる。

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フェルケールとは、ドイツ語で「交通」「流通」などを意味する。1978年7月20日(海の記念日)に資料館として発足し、1991年に登録博物館として新たに開館した。

天井が高い展示室などは開放感あり、船の操縦室をイメージしたような展示もまたいい。

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大正時代前半には、清水港は日本最大の「茶」輸出港となった。

それに関する「輸出用茶箱と蘭字」の展示が、とても興味深い。和と洋が融合した当時が垣間見られる。今の時代から見ても素敵なデザインであり、これは必見である。

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また、港の荷役を務めた人夫の法被、清水駅から三保半島先端まで延びていた清水港線などの紹介もある。1916年に開業して当時6駅あり、1984年に廃止となった。今もある東海道本線の清水駅の次の駅が貨物専用の清水港駅だった。

静岡には東西を結ぶ大動脈の東海道が通っているのは、ご存じの通り。一方で、清水港の付近は近年、江戸と大坂を結んで米や酒、塩などの太平洋航路で、船で運ぶのがさかんだった「海の東海道」の中継地としても注目されているという。

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また、日本で初めてまぐろ油漬缶詰をアメリカに輸出したのが、清水食品株式会社である。その歴史は1801年(享和元年)に初代鈴木与平氏が回漕業・播磨屋を始めたことに由来し、6代目鈴木与平氏が清水食品を設立した。

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創立当時の社屋を移転・補修した「缶詰記念館」では、実際に使用された昭和時代の缶や缶詰ラベル、初期のツナ缶詰製造道具など展示されている。清水・静岡の缶詰産業の歴史を紹介する。しかも当時から女性の従業員を多く雇い、缶詰産業の発展に貴重な力となっていた。

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静岡の缶詰は、全国各地のスーパーやコンビニなどで見られるおなじみのツナ缶をはじめ、ご当地グルメとして話題となった「富士宮やきそば缶」「清水もつカレー缶」「静岡おでん缶」など、その種類は驚くほど多い。しかも常温で長期保存できるため、近年は災害グッズとしても注目を集める。

フェルケール博物館に近い「清水魚市場 河岸の市」などには、缶詰の自動販売機も見られる。まさに缶詰が今の時代も、この地域にしっかりと根付いている。

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※2021年のデータ。「缶詰時報」(公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会)

清水港湾博物館・フェルケール博物館
https://www.verkehr-museum.jp/

取材協力:静岡市

(Written by A. Shikama)