今年はアメリカで221年ぶりに『素数ゼミ』が大量発生する。アメリカには13年ごとに発生する「13年ゼミ」と、17年ごとに発生する「17年ゼミ」がいて、周期の違いで数年ごとにアメリカ各地で大発生を繰り返す。今年は2種がともに羽化する年が重なり、221年ぶりに約1兆匹の大量発生が予測されている。
孵化は4月下旬〜6月上旬とされており、アメリカ16州で1兆匹以上のセミが出現する。特に13年ゼミと17年ゼミの生息地域が重なるイリノイ州では、他の州よりも多くのセミが出現すると言われている。イリノイ州最大の都市シカゴは素数ゼミの聖地として知られ、セミの大量発生を祝ってセミ型のケーキを販売、セミのコスプレイヤーも出現するのなど盛り上がりを見せる中、異色の素数ゼミネタを発見したのでご紹介したい。
過去2015年にも別周期の集団が大量発生し一部メディアで話題になったのだが、翌2016年にシカゴで開催された48 時間で短編作品を作る「48 Hour Film Project」というイベントで、セミ好き有志らによってシカゴをテーマに『セミマン』(Cicada Man)という短編作品が制作された。とある中年男性が森を散歩中にセミと遭遇、セミマンに変身する能力を手に入れ、セミ型のスーパーヒーローとなって悪と戦うことを誓う。友人がセミの集会中にお金を盗まれてしまい、正義のセミマンが森で強盗を追いつめて行き、セミが鳴り響く中で制裁を加えるという王道の展開である。「セミマン」は一部のコア層から熱狂的な支持を受け、作品全体の中でも上位に入賞した異色の作品だった。
今年は221年ぶりとなる素数ゼミの当たり年、シカゴの森を散歩していると、あなたもセミマンに出会えるかもしれない。
(Written by 山岸悠也)