ネットで大反響の動画がある。タイトルは「オオカミとブタ。Stop motion with wolf and pig.」。
4月8日にYouTubeにアップされるや否や、1ヶ月弱の間に155万回(5月1日現在)も再生された。
反響はネットのみに止まらず、テレビの情報番組でも取り上げられている。

写真を繋げたコマ撮り映像だが、オオカミとブタのいる世界と部屋の中の世界がシンクロしながら展開している。
このオリジナリティあふれる映像作品。今までに見たことがないのではないだろうか。
作者は一体どんな人物なのか!?ということで話を聞いてみた。

作者は映像作家の竹内泰人(たけうちたいじん)さん。自称コマドリスト(コマ撮りを愛して止まない人)。この春に武蔵野美術大学大学院を卒業したばかりの25歳だ。

20090510_01―はじめまして。いきなりですが、映像を作るようになったきっかけは何ですか?
はじめまして(笑)
九州芸術工科大学(現在は九州大学に統合)に入学して画像を学んでいたのですが、大学2年生のころに映像に興味を持って趣味で映像を作るようになりました。

―この映像作品はいつ作ったのですか?
九州芸術大学の4年生のころです。始めたのは4年生の5月(2006年5月)ごろからです。

―意外ですが、最近の作品ではないのですね。作品を作っている時の苦労などありましたか?
はい。写真の撮影した時期は、その5月から始めて、編集など終えて映像になったのは翌年の5月ごろです。
途中、住んでいた福岡から大学院のある東京へ引っ越す時期も重なり、撮影だけは福岡で終えようと必死でした。
写真は3000枚くらい撮っています。屋外での写真を約1500枚印刷し、映像にするためその写真を部屋の中に並べて約1500枚を撮影しました。
オオカミ役は僕本人だと思われがちですが実は友人で、撮影が僕です。
友人とスケジュールを合わせ、天気の晴れている日に延べ13回撮影をしました。
部屋の中の撮影は、僕の住んでいた部屋です。引越しをしなければならない日が迫っていたので2日徹夜して3日間で何とか撮影だけは済ませました。
その後、東京に引越し編集して5月ごろに完成したということです。編集にも2ヶ月ぐらい時間がかかっています。

―手間のかかる作業だとは思いましたが、相当の時間をかけているわけですね。なぜ今、話題になったのでしょうか?
実はこの作品は今ままでコンテストに応募し、2007年には「BACA-JA」というコンテストの映像コンテンツ部門で最優秀賞を頂きました。2008年にはNHKの「デジスタ(デジタル・スタジアム)」にも応募してベストセレクションに選ばれ、今年の3月には2008年度の最優秀作品を決める「デジスタ・アウォード」でベスト4となりました。
そして、もう他のコンテストには応募しないだろうと考えて、YouTubeにアップしました。

―なるほど。その分野に詳しい人には知られている作品だった訳ですね。次の作品の予定はありますか?
次の作品は製作中です。9月ごろ完成の予定です。もう4ヶ月ほど作っていますが(笑)
本当は、大学院の卒業制作にする予定だったのですが、終わらなくて(笑)

―卒業はしてますよね?大丈夫だったのですか?
前に作っていた別の作品を卒業制作ということで提出しました(笑)
今は最優先で、この作品を仕上げたいと思っています。

―楽しみにしています。
はい。

次の作品も待ち遠しいが、将来的には映像作家として一本立ちしたいという目標を持っているという。今後の活躍が期待できそうだ。
竹内泰人。この名前を覚えておいて損はないだろう。