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●”家庭の味”求め、10万人…行列のできる「たまごかけごはん」の店

熱々の釜炊きご飯に、新鮮たまご。
濃厚でトロリとした”たまごかけごはん”を
豪快にかきこむ…。

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そんな素朴で家庭的で、どこか懐かしい、私たち日本人のごく普通の食文化「たまごかけごはん」に熱い町が存在する。

岡山県美咲町。県中央部に位置するこの町は2005年3月に合併し誕生した。生まれて間もないこの地を盛り上げるべく、町おこし企画第1弾としてクローズアップされたのが、西日本最大の養鶏場「美咲ファーム」(美咲町越尾)の鶏卵を使った“たまごかけごはん”なのである。

●“日本新聞界の草分け”が愛した味
20090531_03では何故、日本全国どこの家庭でもカンタンにできちゃう“たまごかけごはん”に焦点を定めたのか?
それは、この地に生まれた明治期のジャーナリストである岸田吟香(きしだぎんこう)さんに由来する。

「わが国新聞界の草分け」「日本で最初の従軍記者」など数多くの先駆的な業績を残し、ジャーナリズムの土台を築いた男・岸田吟香。

彼は生前、殊の外愛していたのが“たまごかけごはん”(日本で一番最初に食したとも言われている)。彼は全国にその味を広めたと言い伝えられている。
いわば、彼の存在がなかったら、私たちは白米を黄金色に彩色する術を知らずして生きていたことだろう。そう思うだけで、背筋がゾッとする。

その日本の食卓に影響を与えたとされる説に着目した町長・産業観光課が、町の知名度アップのために企画。空き店舗だった元うどん屋を改装し、2008年1月22日より、たまご料理の店「食堂かめっち。」をオープンさせたのである。

●シンプルなメニュー構成、素材は全て「地元産」…人気の秘密とは?

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「食堂かめっち」のお品書きはすべて“卵”料理。
中でも、当店メインメニュー「黄福(こうふく)定食」と名付けた卵かけご飯は、卵とご飯、3種類のしょうゆダレ、みそ汁、漬物が付いてたったの300円。
メニューのシンプルさ、そして「ご飯と卵は食べ放題」という破格的なサービスが好評を博した。

平日では、平均で150食。土日祝日ともなると、県内ばかりか京阪神からも客が殺到。1、2時間待ちも普通になっている。
オープン1年で訪れた客の数は7万人。しかし、これは「黄福定食」を食べた客だけの数。他のメニューを注文したり、「1時間待ち」と聞いて帰ったりした人も含めると10万人近くになる。

そのシンプルさ・物珍しさ・どこか懐かしい感じはインターネット情報や風の噂によって徐々に浸透。老若男女幅広い層の人々が来店している。

そして、最大の注目ポイントはその「味」。
どこの家庭でも味わうことのできる“お手軽料理”、と思って高を括っていたら大間違い!侮ることなかれ、ここ美咲町で食すと、一味もふた味も違うのだ。
『シンプルな料理だけに素材が大切』と考える食堂では毎日、美咲ファーム(美咲町越尾)のブランド卵赤玉「森のたまご(赤玉)」を入荷。ご飯は町内の棚田で栽培された「棚田米」、醤油も地元産の「天狗醤油」を使用。
また味噌や漬物、さらには器も地元の「桜湖焼(おうこやき)」を使用するなどすべて「美咲町産」にこだわっている。

さらに、こだわりを持つのはたまごに混ぜる「醤油たれ」。
天狗醤油をベースにしたオリジナルの「タレ」を開発。シソの風味が食欲をそそる「シソ」、刻みネギにキムチの味がピリリと効いた「ネギ」、磯の香り豊かな「のり」の3種類。『このタレがあるから、わざわざここで食べる価値がある』というリピーターのお客さんも多いのだとか。

単に、安い・美味いだけでなく、他では決して味わうことのできない“美咲の味”が椀に込められているのである。

100年に1度、未曾有の大不況と言われる平成ニッポン。多くの人々のお財布・心が凍える中、ここ美咲町では素朴であったかい、まさに“黄”福の花が咲き乱れている。

空の上の吟香さんも今頃は生唾を飲み込んでいるに違いない。

20090531_05『食堂かめっち。』
久米郡美咲町原田2155
TEL:0868-66-1118
(美咲町役場産業観光課)
営:9:00〜17:00
休:年末年始
http://www.town.misaki.okayama.jp/kankou/tamago/