20090609_01時代劇などでは「〜でごわす」や「チェスト〜!」が鹿児島弁としてよく出てくるけれど、普段、地元の人が使うのはイントネーションこそ違えど、単語はほぼ標準語。そのため地元の人でも「昔ながら」のネイティブな鹿児島弁を話せる人が少なくなっているのも事実だ。そんな状況を憂いて、最近では鹿児島弁を後世に残していこうという動きがあり、今年の8月16日に初の「かごしま弁検定」も実施されることになった。この検定は初級、中級、上級とあり、レベルに応じて寸劇や録音などからのヒアリング問題、書き取り問題などが出題される予定。

そこで今回の検定にも出題されそうな言葉のひとつ「へ」を紹介しよう。なんと鹿児島では「へ」は3つの意味を持つという。ではその3種類の意味とは?「かごしま弁検定」を行うNPO「鹿児島弁を語り継ぐ会」の代表・種子田幸廣さんに、「へ」の意味を教えていただいた。

まず「へ」の意味のひとつは標準語そのままの「屁」。使用例は「屁をひった」、「ひった」は「放(ひ)る」という意味だ。2つめの意味は「ハエ」で、使用例は「ヘが飛んじょっど」で訳すると「ハエが飛んでいるよ」。3つめの意味は鹿児島ならでは、桜島の「火山灰」を指している。使用例は「へが降っでけた」。
これらをシュチュエーションによって使い分けられるのがネイティブ鹿児島人で、生まれながらにして聞き覚えるものなので、比較的日常会話にも使われやすい。よってかごしま弁検定なら初級レベルと言えるだろう。

さらに上級者になるとこの「へ」に吃音の「っ」を加えた単語も使いこなせるようになり、「へ」には4つの意味を持たせられる。
それは主に中高年以上の人が、肉体労働を長時間続けたり、普段より無理をしたあとなどに、突然、肩や背中の一部に強烈な痛みを感じる症状を「へっがでおた」と表現する使い方だ。この「へっ」の症状は人によって感じる場所も異なり、痛みの度合いも様々。また背中だけでなく胸などが痛む時は「へっがまわった」とさらに上級レベルの利用の仕方も。
ただ、この「へっがでおた」感覚は、ある程度の年齢に達しないと実感できないため、なかなか若い世代で使いこなせる人は少ない。筆者の知人もつい先日「いきなりへっがでおてよ!40(歳)過ぎた途端にこれかよ!?」とぼやいていた。「へっがでおた」を使い始めたら立派な「中年」の証拠かもしれない・・・。

「へ」の4種類の意味に興味をもったら、あなたも「かごしま弁検定」にチャレンジしてみてはいかがだろう?申し込みは7月15日まで。

かごしま弁検定ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/kagoshimaben0805

(written by おばらけいこ)