大門シネマ。この地方都市で、単館映画にこだわり続ける映画館だ。近年増えた大型映画館で上映されるような大作ではない、マイナーながらもキラリと光るような映画を上映するのが、ミニシアターである。
津市の大門商店街のはずれにあるこの小さな映画館は、昔は津東宝劇場という名前で、街の映画館として賑わいを見せていた。だが、時代の流れは変わる物で、市内にシネマコンプレックス型の大型映画館が出来た影響をモロに受け、2001年に東宝劇場も閉館することになってしまう。
その後しばらくは閉館したままになっていたのだが、5年前、そんな津東宝劇場を改修し、ミニシアターとして再出発する計画が持ち上がった。ミニシアター化にあたって座席数は200席から140席となり、スクリーンや映写機なども新しい物へと取り替えられ、まさに、新たな映画館へと生まれ変わったのである。
主に上映している映画は、国内のミニシアター向けのものや、韓国やアルゼンチン、ドイツなどの、大手シネコンでは上映されないような映画で、以前には、アカデミー賞の外国語部門にノミネートされたドイツ映画『ヒトラー〜最期の十二日間』や、アニメファンの間で評判になった『時をかける少女』等も上映され、地域の映画ファン達の評判となった。
現在、映画産業は不況の影響を受け、ハリウッドのような大きな映画制作会社や外国資本のシネコン型の映画館も苦境に立たされている。そんな、映画のメインストリームが苦しい状況だからこそ、ミニシアターの個性的な映画が注目を集めるのもあるのだろう。
三重県津市という地方都市でミニシアターが成立する理由として、支配人である谷口嘉吉さん(78)はこう分析する。
「単純に人口が多いだけでも駄目。その街の文化レベルが高く、見に来る人がいるということが重要。そういった意味で、ミニシアターは城下町にあることが多く、文化は今でも息づいている」
大門シネマの評判は市内だけにとどまらず、いろいろな地域から人が訪れるという。
「ありがたいことに、この映画館にも、三重県内だけでなく、奈良や和歌山からもわざわざ足を運んでくれる人たちもいる。ミニシアターだからこそ上映できる映画に魅力を感じてくれているのだろう」
そんな谷口さんの大門シネマの支配人の道のりも波乱のものだった。
「五年前、この映画館を任されることになって、大変だぞというときに癌も発覚したんですわ。医者は余命5年と言ってました。でも、なんとか5年生き延びて、まだこうやって映画を上映し続けている。映画業界が駄目になるか、私が駄目になるかの競争です」
そう言って谷口さんは笑ったが、ぜひとも、末永く大門シネマを続けてもらいたいものである。
(Written by 青山鉄平)

主に上映している映画は、国内のミニシアター向けのものや、韓国やアルゼンチン、ドイツなどの、大手シネコンでは上映されないような映画で、以前には、アカデミー賞の外国語部門にノミネートされたドイツ映画『ヒトラー〜最期の十二日間』や、アニメファンの間で評判になった『時をかける少女』等も上映され、地域の映画ファン達の評判となった。
現在、映画産業は不況の影響を受け、ハリウッドのような大きな映画制作会社や外国資本のシネコン型の映画館も苦境に立たされている。そんな、映画のメインストリームが苦しい状況だからこそ、ミニシアターの個性的な映画が注目を集めるのもあるのだろう。
三重県津市という地方都市でミニシアターが成立する理由として、支配人である谷口嘉吉さん(78)はこう分析する。
「単純に人口が多いだけでも駄目。その街の文化レベルが高く、見に来る人がいるということが重要。そういった意味で、ミニシアターは城下町にあることが多く、文化は今でも息づいている」
大門シネマの評判は市内だけにとどまらず、いろいろな地域から人が訪れるという。
「ありがたいことに、この映画館にも、三重県内だけでなく、奈良や和歌山からもわざわざ足を運んでくれる人たちもいる。ミニシアターだからこそ上映できる映画に魅力を感じてくれているのだろう」
そんな谷口さんの大門シネマの支配人の道のりも波乱のものだった。
「五年前、この映画館を任されることになって、大変だぞというときに癌も発覚したんですわ。医者は余命5年と言ってました。でも、なんとか5年生き延びて、まだこうやって映画を上映し続けている。映画業界が駄目になるか、私が駄目になるかの競争です」
そう言って谷口さんは笑ったが、ぜひとも、末永く大門シネマを続けてもらいたいものである。
(Written by 青山鉄平)