だが日本に、マンボウを食べる地域がいくつかある事はあまり知られていない。
今回紹介する三重県紀北町も、そんなマンボウを食べられる町の一つだ。
町の魚がマンボウで、道の駅の名前もずばり『紀伊長島マンボウ』である。
そんな道の駅『紀伊長島マンボウ』では、様々なマンボウ料理を食べることができ、干物や唐揚げはもちろん、水揚げ量の多い時期には、食堂にマンボウ入りかき揚げうどんや海鮮丼などのメニューも並ぶその名に恥じないマンボウづくしのスポット。
中でも特に珍しいのが、『マンボウの串焼き』だ。
土日や祝日に道の駅の前に出ている屋台で販売されているこの串焼きこそが、今や紀北町の名物になっているのだ。
その食感は、魚というよりはまるで鶏肉のようで、歯ごたえの良さは独特な物がある。

それまでは同じ場所でタコの串揚げなどを販売していたが、平成13年ごろから、マンボウの串焼きをはじめたのだという。
「この地域の特色を出そうと思って、何か変わった名物になる物はないかと探した結果がマンボウでした」
昔からこの地域ではマンボウを食べており、郷土料理としても知られていたのだが、それを串焼きにして道の駅で販売することで、より多くの人に食べてもらおうと考えたのだ。
だが、マンボウは腐りやすく水分も多いため、普通に焼いていてはとても食べられる物ではなく、その道のりは試行錯誤の連続だった。
保存方法を考え、しばらく放置して水分を抜いておいたり、タレと塩胡椒の味を用意したりと、調理方法にも色々な工夫を行っていったのだ。
はじめた当初は一日で100本も売れないほどだったのだが、やはりマンボウの串焼きというインパクトは大きく、すぐに口コミなどで評判になっていく。
さらに、熊野古道の世界遺産認定や、高速道路の延長なども相成って、ここに立ち寄る旅行者も多いそうで、観光バスなどが立ち寄った際には、バスガイドさんがわざわざマンボウの串焼きがあると紹介してくれるのだという。
「今では、ゴールデンウイークなどの繁盛しているときには、一日で500〜600本は売れていきます。普通の土日でも、平均で400本は売れますね。でも、マンボウは焼くのに時間がかかってしまうから、なかなか大変ですよ」
と、今では川畑さんが嬉しい悲鳴を上げるほどである。
この、変わった名物のマンボウの串焼き。
近くに行った際には、ぜひ口にしてみてはどうだろう。
道の駅 紀伊長島マンボウ
住所 三重県北牟婁郡紀北町紀伊長島区東長島2410−73
電話番号 0597−47−5444
http://www.gyorme.com/
(Written by 青山鉄平)
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