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滋賀県甲賀市を走る信楽高原鐵道。
この鉄道では、信楽(しがらき)という焼き物が有名な地域の特性を活かして、様々な焼き物の企画切符を販売しており、その中で、今回企画されたのが土瓶切符である。
もともと信楽の土瓶は、中にお茶を入れた汽車土瓶として駅弁と一緒に全国で販売されていたのだが、時代の流れと共に他の容器に変わっていき、その姿を消していったのである。
そんな中で、JR北陸線を走るSL「北びわこ号」で限定的に汽車土瓶が復活し、さらに、地元の信楽高原鐵道にも汽車土瓶の話が持ち込まれたのが、今回の企画のはじまりである。

20090629_02はじめは同じように普通の汽車土瓶として販売するという話もあったのだが、そこはこれまでも色々な企画切符を販売してきた信楽高原鐵道、この土瓶も切符として販売してしまおうということになったのである。
そうして出来たのが、今回の「信楽汽車土瓶切符」だ。
色は白、青、茶色、灰色の四色で、汽車土瓶の側面には、行き先や運賃などの切符をイメージした凝ったデザインとなっている。
この土瓶切符、信楽駅の売店で買うことが出来、貴生川(きぶかわ)までの運賃450円と切符である土瓶を合わせて700円で販売されている。
土瓶切符は、底に判子を押してもらえばそのまま切符代わりになるという仕組みだ。
その評判も上々で、1500個用意した初回分は早々に売り切れ、追加発注した800個ももう残り僅かとなっている。

買っていくお客さん反応は、汽車土瓶を懐かしがる声に加えて、切符と土瓶のセットとということで、物珍しさやお買い得ということで買っていく人も多く、中には、一人でいくつも買っていた人もいたそうだ。
また、信楽高原鐵道のホームページ上で通信販売を行っており、信楽焼きの知名度も相まって、全国の多くのファンからも注文があったという。

信楽高原鐵道では今後もこういった企画を考えており、土瓶切符の再販や、毎年恒例の干支の信楽焼陶板切符や阪神タイガース応援切符などを検討中とのことだ。
地域を走る鉄道と、その地元の産業のコラボレーションによる相乗効果で、町と鉄道そのものを知ってもらう。
まさに、地域活性化の一つのあり方といえるだろう。

信楽高原鉄道
http://www.biwa.ne.jp/~skr/

(Written by 青山鉄平)