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まるで本物の偽札(?)に見えるこの通貨、その名も「湯路(ユーロ)」。大分県の別府温泉だけで通用する地域通貨だ。発行元はもちろんEU? いや、「イー湯〜(「安心・本物の町の湯共同体」の通称名)」。管理者は、地元の団体「別府八湯アチチ探検隊」が運営する「アチチ中央銀行」。すばらしいネーミングセンスだ。

それだけではない。カクサナイ社会を目指すべくニューヨーク宣言が誓われたり、大量発行の際に「流通促進政策 = アフレ(溢れ)ターゲット政策」が謳われたりもした。今年の3月には緊急経済対策として「定額給付湯路」も発行された。路地裏エリアの活性化にと始められ た活動だというが、なんとも元気で遊び心いっぱいの試みである。

「湯路」は、別府温泉で、入浴をはじめ、飲食や宿泊などに利用することができる。入手ルートは湯路ネットワークに加盟している宿泊施設が主だが、もちろんふつうに買うこともできる。町のボランティア活動に参加することでも入手可能。気になる貨幣価値は、おおよそ1湯路=100円。(カタカナのユーロに比べると若干円高感がありますね!)

筆者、常々、珍しい通貨はお土産に最適だと思っているのだが、この「湯路」も例にもれず。聞くところによると、使わずに大切に持ち帰る観光客も多いのだとか。わかるわかる、話の種に最高だものね。

この「湯路」は地元の団体が主体となって作っているものだが、別府市には、これとは別に「泉都(セント)」という地域通貨も存在する。こちらは別府市が発行しているもので、住民基本台帳カード等を使った電子的な通貨らしい。伝統・路地裏的な「湯路」に対し、「泉都」はどこかアメリカン!? そういえば、”Made in Usa” という表示で話題に上ったことのある宇佐市も、大分県の地名なのだった。大分って、グローバル? いや、洒落好きな県???

さて、話を「湯路」に戻し、日本円との違いを挙げておこう。大きな違いは、日本円が金本位制という歴史を持つのに対し、「湯路」は湯本位制を敷いているという点だ。湯本位制なので、当然湯冷め(=期限切れ)が起こりうる。「湯路」はだいたい半年で湯冷めしてしまうので、入手したらすぐに使うことがおススメだ。貨幣の循環までもを考慮に入れた、すばらしき政策である。恐るべし、「湯路」。

べっぷ 野上本館
http://www008.upp.so-net.ne.jp/yuke-c/

(Written by S.aureus)