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名前に「館」とつくことから県外の人には大きな1施設と思われることもある「天文館」。実際は東西南北に約1km四方のエリアを指し、ファッション、レジャー、グルメと様々な店鋪が集まる、南九州一とも言われる繁華街。
エリアのほぼ中央を走る鹿児島市電の軌道敷を境にして大きく北と南に分けることができ、北には主にショッピングやグルメなど「昼」向きの店鋪が、南には飲食店やゲームセンター、カラオケなど「夜」向きの店鋪が多いのも特徴だ。また北の11の通りがアーケードで連結されているのも珍しい。

20090703_03ではなぜこのエリアが「天文館」と呼ばれるようになったのか?
1779年に、島津第25代重豪が天文観測や暦を研究する施設「明時館(めいじかん)」を建て、この明時館の別名が「天文館」と呼ばれていたことに由来するそう。現在、明時館があったあたりの天文館本通りアーケード内に、由来が書かれた説明板と、記念碑がひっそりと建っていて、その足元の古地図には確かに「天文館」の文字が読み取れる。
天文館は明治、大正、昭和、平成と時代を超えて多くの人と情報が集まるエリアだったが、ここ数年は映画館が1軒もない、アーケード街にも空き店舗が目立つようになったなど、聞こえてくる話題にはどこか元気がない。
20090703_04それでも天文館の夏の風物詩・ミルク味のかき氷「白熊」は観光客にも不動の人気を誇るし、いまや鹿児島で唯一のデパートである「山形屋」など老舗もがんばっている。南九州最大の祭りと言われる「おはら祭」は天文館だけでなく東京・渋谷でも開催されている。昨年には日本で初めて国道をまたいだアーケードも完成したり、天文館で様々なイベントを行う「We Love天文館」が発足し、天文館に活気を取り戻そうという動きも活発になっている。
鹿児島市外の地方で育った筆者がこどもの頃、天文館は「都会みたい」な「オシャレして出かけたい」憧れの街だった。だから天文館にはこれからもキラキラと輝く街であってもらいたいのだ。

鹿児島市のホームページ(天文館の説明)
http://www.city.kagoshima.lg.jp/_1010/kanko/4kankou/0005999.html

(Written byおばらけいこ)