2008年末、私は電撃ネットワークの南部虎弾さんが主催する忘年会イベントに足を運んだ。色んな出演者がいる中、とりわけ印象に残ったアーティストがいた。円広志の「夢想花」という曲に合わせてアクロバットを披露するマッチョな二人組。潤んだ目、見つめ合う熱い視線、溶けそうな吐息、ほとばしる汗、鍛え上げられた筋肉、それに這わせる優しい指、…。そう、彼らは同性愛を演じながらアクロバットを披露したのである。会場は爆笑と拍手に包まれた。彼らの名前は、POWERBOMB(パワーボム)。
「クレイジーナイト」というイベントがそうであるように、電撃ネットワークが催すイベントには様々なアーティストが登場する。‘今では大人気のお笑い芸人がかつて出演していた場所’‘芸能界を一度ドロップアウトした芸能人を再び観れる場所’‘放送できないネタが多いイベント’…色んな言葉が飛び交うけれども、確実に言えることは、芸に対して真剣な方しか登場しない。POWERBOMBにも同じことが言えるであろう。
POWERBOMB(パワーボム)。プロレスの技の一つから付けられた名前であるが、これは自分たちで付けた名前ではない。ショーパブの店長に付けてもらった名前だというが、このあたりから既に気になる彼らの正体。今回、POWERBOMBのリーダーであり「有限会社POWERBOMB」代表取締役・岡さんと、演出を担当されている大島さんが取材に応じてくれることになった。
― POWERBOMBは何人で活動しているのですか?
現在は5人です。結成してから15年程経ちますか、今のメンバーは初期メンバーではありません。メンバーの入れ替わりなどもあり、今はとりあえず5人で活動しています。常に5人が同じ現場にいるというわけではなく、現場の状況に合わせております。御覧になったホモ演芸の時は2人でしたし、実は今話題になっているロック座のイベントにもウチから2人参加しています。
― では、普段からストリップ劇場やショーパブでお仕事を?
いえ、ロック座さんとは今回が初めてのお付き合いです。元々、全国のテーマパークで振付指導や演出を手がけてきた経緯があり、普段はそういった場所でのイベントに呼ばれることが多いですね。例えば7月からは、サンリオさんの企画で、キャラクターたちと一緒に全国公演をしてきます。出演というだけではなく、アクロバット指導や演出といった関わり方もしています。ショーパブでのお仕事というのも、昔の話ですね。でも、お客様の楽しませ方、魅せ方、トーク、…あそこで学んだことは実は非常に多いんです。
― 最初はホモ演芸がメインの集団かと思っていました…
全然違いますよ。我々のパフォーマンスはストリートから始まっています。毎年静岡で催されている‘大道芸ワールドカップ’にも昔から出場していますし、常に意識しているのは、ストリート(その場)に合わせて生まれるパフォーマンスです。ホモ演芸は、六本木のクラブという場所で出来るパフォーマンスを考えて生まれたもので、実はあの時だけのものなんですよ。
― 私としては、もっと知名度があってもいいと思うのですが…
これでも、DM会員は7万人いるんですよ。学校の文化事業の一環として呼ばれていくこともあるんですが、パフォーマンス後はサイン攻めです(笑)。ただ、どんなにファンがいても、やはり知名度を上げる一番の手段はテレビでしょうね。私たちは、クリエイター集団だと思っています。演出家もいれば、音楽家、振付師、デザイナーもいます。私たちに任せていただければ、例えば番組が一つ作れます。正直、番組作りには興味ありますね。そういったように、集団としての活動を大切にしているんですが、メディアに出て行くと、どうしても誰か一人だけブレイクしてしまったり…といった怖さがあります。個人として売れていくのはイイ事ですし、私たちも応援しますが、POWERBOMBというチームで考えると質が落ちてしまう恐れがあり、メディア展開には慎重になってしまっています。実際、チームを抜けてブレイクしていったメンバーも過去にはいます。
― 今後の活動展開は?
先ほど言いましたように、サンリオさんの公演に7月から全国を回ります。他にもあちこちのテーマパークに出ています。他には、後輩の育成に力を入れています。最近のこういったパフォーマンスやダンス・芸事というのは、時代が変わると消えてしまうモノが多いのが残念です。そこにはかならず先輩達が築いてきたモノがあるはずで、それを知らずにただマネてしまうパフォーマンスの作り方に問題があるのだと思っています。私たちが教えるのは、そういった時代の‘点’で終わることのない、過去から確実に引き継がれてきた‘線’で捕らえられた技術です。それは基礎であったり、過程であったりします。やはりパフォーマーである以上、流行りだけで終わらずに、ずっと残っていきたいですよね。
約1時間半の取材中、ずっと熱く語って下さったお二人。
「例えば公演を観に行って、下手なダンスを見せられてガッガリするより、『私たちに任せていただければ、もっと凄いダンスに仕上がりますよ』といったように、自分達から行動をしたいですね。」
その言葉から私が感じ取ったのは、POWERBOMBというチームのことだけじゃなく、日本のパフォーマーたちの未来を育てたいと思う優しさでした。
(Written by 川上ルイベ)
【POWERBOMB】
ストリートダンスとアクロバットをコラボレーションした日本でも数少ないパフォーマンスチーム。ジャンルにこだわらず豪快なパフォーマンスと、サーカスを思わせるコンビネーションはまさに圧巻である。また、常にお客様との一体感を心掛け、『分かりやすくすごいもの』を目指して作品をつくる姿勢は、老若男女問わず様々なファン層を築き上げてきた。また個々でも、芸能人のバックダンサーやTVや映画のスタントなどで活躍しており、バラエティに富んだメンバー構成も魅力のひとつである。
ホームページ
http://www.powerbomb.co.jp/
POWERBOMB(パワーボム)。プロレスの技の一つから付けられた名前であるが、これは自分たちで付けた名前ではない。ショーパブの店長に付けてもらった名前だというが、このあたりから既に気になる彼らの正体。今回、POWERBOMBのリーダーであり「有限会社POWERBOMB」代表取締役・岡さんと、演出を担当されている大島さんが取材に応じてくれることになった。
― POWERBOMBは何人で活動しているのですか?
現在は5人です。結成してから15年程経ちますか、今のメンバーは初期メンバーではありません。メンバーの入れ替わりなどもあり、今はとりあえず5人で活動しています。常に5人が同じ現場にいるというわけではなく、現場の状況に合わせております。御覧になったホモ演芸の時は2人でしたし、実は今話題になっているロック座のイベントにもウチから2人参加しています。
― では、普段からストリップ劇場やショーパブでお仕事を?
いえ、ロック座さんとは今回が初めてのお付き合いです。元々、全国のテーマパークで振付指導や演出を手がけてきた経緯があり、普段はそういった場所でのイベントに呼ばれることが多いですね。例えば7月からは、サンリオさんの企画で、キャラクターたちと一緒に全国公演をしてきます。出演というだけではなく、アクロバット指導や演出といった関わり方もしています。ショーパブでのお仕事というのも、昔の話ですね。でも、お客様の楽しませ方、魅せ方、トーク、…あそこで学んだことは実は非常に多いんです。
― 最初はホモ演芸がメインの集団かと思っていました…
全然違いますよ。我々のパフォーマンスはストリートから始まっています。毎年静岡で催されている‘大道芸ワールドカップ’にも昔から出場していますし、常に意識しているのは、ストリート(その場)に合わせて生まれるパフォーマンスです。ホモ演芸は、六本木のクラブという場所で出来るパフォーマンスを考えて生まれたもので、実はあの時だけのものなんですよ。
― 私としては、もっと知名度があってもいいと思うのですが…
これでも、DM会員は7万人いるんですよ。学校の文化事業の一環として呼ばれていくこともあるんですが、パフォーマンス後はサイン攻めです(笑)。ただ、どんなにファンがいても、やはり知名度を上げる一番の手段はテレビでしょうね。私たちは、クリエイター集団だと思っています。演出家もいれば、音楽家、振付師、デザイナーもいます。私たちに任せていただければ、例えば番組が一つ作れます。正直、番組作りには興味ありますね。そういったように、集団としての活動を大切にしているんですが、メディアに出て行くと、どうしても誰か一人だけブレイクしてしまったり…といった怖さがあります。個人として売れていくのはイイ事ですし、私たちも応援しますが、POWERBOMBというチームで考えると質が落ちてしまう恐れがあり、メディア展開には慎重になってしまっています。実際、チームを抜けてブレイクしていったメンバーも過去にはいます。
― 今後の活動展開は?
先ほど言いましたように、サンリオさんの公演に7月から全国を回ります。他にもあちこちのテーマパークに出ています。他には、後輩の育成に力を入れています。最近のこういったパフォーマンスやダンス・芸事というのは、時代が変わると消えてしまうモノが多いのが残念です。そこにはかならず先輩達が築いてきたモノがあるはずで、それを知らずにただマネてしまうパフォーマンスの作り方に問題があるのだと思っています。私たちが教えるのは、そういった時代の‘点’で終わることのない、過去から確実に引き継がれてきた‘線’で捕らえられた技術です。それは基礎であったり、過程であったりします。やはりパフォーマーである以上、流行りだけで終わらずに、ずっと残っていきたいですよね。
約1時間半の取材中、ずっと熱く語って下さったお二人。
「例えば公演を観に行って、下手なダンスを見せられてガッガリするより、『私たちに任せていただければ、もっと凄いダンスに仕上がりますよ』といったように、自分達から行動をしたいですね。」
その言葉から私が感じ取ったのは、POWERBOMBというチームのことだけじゃなく、日本のパフォーマーたちの未来を育てたいと思う優しさでした。
(Written by 川上ルイベ)
【POWERBOMB】
ストリートダンスとアクロバットをコラボレーションした日本でも数少ないパフォーマンスチーム。ジャンルにこだわらず豪快なパフォーマンスと、サーカスを思わせるコンビネーションはまさに圧巻である。また、常にお客様との一体感を心掛け、『分かりやすくすごいもの』を目指して作品をつくる姿勢は、老若男女問わず様々なファン層を築き上げてきた。また個々でも、芸能人のバックダンサーやTVや映画のスタントなどで活躍しており、バラエティに富んだメンバー構成も魅力のひとつである。
ホームページ
http://www.powerbomb.co.jp/