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映画「ごくせん THE MOVIE」がいよいよ封切られた。驚異の高視聴率を誇ったあのテレビドラマの映画化だ。ジャージ姿、お下げ髪にメガネの熱血先生・・・・・、ヒロインのヤンクミは、もう、すっかり国民に浸透したキャラクターといってよいだろう。それにしても、これほどまでに視聴者に受け入れられたのはなぜだろう? ひとつの答えは、誰もが心のどこかでこんな先生を待っているからではないだろうか。振り返れば、学園ドラマには昔から熱血先生がつきものだった。
さて、静岡では、その名もズバリ「熱血教師塾」なるものが開講する運びとなった。これって、やっぱり、ああいう系(?)の先生を養成するのだろうか!? いいんですけど、でも、養成して量産してしまうと、それはそれで暑苦しいような・・・・

静岡市教育委員会の方にお聞きした。
「熱血教師塾」は実在した。今年10月に開講とのことで、第一期生の募集は6月に締め切られた。募集人員約30名のところ、90人以上の応募があったという。この中から、入塾選考をくぐり抜けた精鋭たちが塾生となり、卒塾後に小学校教員採用選考に挑むこととなる。
やっぱり、熱血漢が合格するの? ・・・・答えはNOだ。静岡市が期待するのは、プロフェッショナルとしての心の強さのようなもの。「熱血」という単語から連想されるイメージで人物像を固定するのではない。つまり、特定の性格の人ばかりを集めているわけではない。

いじめや不登校をはじめ、教育の現場はさまざまな問題を抱えている。そこへ来て、現職の先生にはちょうど定年を迎える世代の先生が多い。学校は、心の底から、力のある先生を求めているのだ。静岡が打ち出した「熱血教師塾」は、こうした教育のいろいろな問題を受け止め、きちんと対処していける人材を求めてのことだった。個性はいろいろあってよい、大切なのは「先生として仕事するんだ!」という真剣な思いとそれを支えるタフさ。
「熱血教師塾」は、教育だけでなく、多様化する社会に対応していく力も重視しており、さまざまな仕事人を講師に呼ぶ試みもしている。たとえば、静岡の地場産業を担う仕事人、企業戦士として科学技術をやってきた人、農業を貫く人、・・・・。また、卒塾生は、いままでの小学校教員採用試験ではなく、特別選考試験を受けて小学校教師を目指す。とはいっても、「熱血教師塾」は、なにか奇抜で特殊なことをしているというのではなく、あくまでも教師採用までのひとつの新しい勉強の場という位置づけだ。この教育事業は、市長のマニフェストに記されていて、静岡市の重点政策となっている。
今までの話、総合すると、やはり大切なのは総合的な「人間力」のようなものだ。講座は毎月2〜3回、土曜日に開かれる予定。将来のヤンクミはどんな人だろう? ドラマのような(ああいう系とかの?)派手さはなくても、地道に仕事をしていくすばらしい先生が育つのを、温かい目で見守りたい。

(Written by S.aureus)
(Photo by daveblume