20090819_01

「南部鉄器のふるさと」と呼ばれる岩手県奥州市の水沢地方は、約900年の歴史を誇る鋳物製品の産地。その水沢地方の中でも多くの鋳物工場が立地している羽田町の太鼓演奏活動に役立ててもらうことを目的に、平成16年、直径53cm、高さ60cm、重さ約90kgもの鋳鉄製の太鼓が製作された。

‘ひょっとしたら世界初の鋳鉄製の太鼓ではないか・・・‘と言われる、その太鼓は、つや消しの黒い色の胴に白い皮が映える重厚な出来栄え。3ヶ月に及ぶ試行錯誤の末の大作である。
気になる‘世界初の鋳鉄製太鼓‘の音は、木製の太鼓に比べると硬質な打音で、遠くまで響く鳴りの良さが特徴だそう。また和太鼓演奏の技術の一つである「縁打ち」の音も余韻のある独特な金属質な音が広がるとのこと。

現在では、奥州市伝統産業会館に展示されており、地元の催しの際に「鋳物太鼓保存会」の演奏で、その音を楽しむことができる。

また、水沢地方では、リーンと高く澄んだ音を特長とする「南部風鈴」が有名であり、なんと!昭和36年から毎年、6月から8月にかけてJR東北本線水沢駅ホームに南部風鈴が千数百個、飾られ「風鈴駅」と呼ばれている。
昭和45年に大阪で開かれた万国博覧会の日本庭園に水沢の風鈴が飾られたことで、風鈴ブームのきっかけを作ったこともあるそう。

現在、水沢駅に飾られている風鈴は吊鐘型や灯篭型だけでなく、果物、花、魚、野菜などユニークな種類も多く、その音色と色彩があわただしい駅風景を和ませ、安らぎを与えると、乗降客に人気だ。
平成8年には当時の環境庁(現・環境省)が選定した‘日本の音風景100選‘にも選ばれている。

夏休みには、他では聞くことのできない鋳鉄製の太鼓の音や数千個の風鈴の音色に、耳を傾けに行くのはいかがだろうか?

20090819_0220090819_03

(Written by  石川陽那)