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僕は麻布十番まつりのあまりの暑さと人混みに耐えられなくなり十番のクラブ『WAREHOUSE702』でのイベント、『enjoy sommer 2009 麻布十番納涼祭』に逃げ込んだ。
そこでは、DJと着物を着た女性アーティストとの、コラボレーションによるライブペイントが行われていた。
4畳半はあろうかという程の大きな半紙に向かう筆を掲げた女性の、繊細で綺麗なルックスと白と緑の優美な着物や身のこなしは美しく、ぼーっと見入ってしまう程だった。
音楽にのせて完成した龍の書は、彼女の外見とは裏腹に、力強く豪快な作品だ。そんな書家 かなさんにお話を伺った。

—とても素敵でした!よくこういったイベントはよくなされてるんですか?

ありがとうございます。いえ。こういったものは年に数回です。
ただ、いろいろな方に『書』をお教えするワークショップは月に何度も行っています。今日の作品は水墨画になるのですが、普段は書道にデザインを加えたスタイルが基本なんですよ。

—何故、書にデザインを?

書家として独立する前は、グラフィックデザイナーをしていたので、お客様のニーズに答えるのが得意なんです。
オファーをくれるお客様もワークショップの生徒さんも、やはり、子供の頃の習い事のような“お習字”では感動して頂けない。
それで、自分の経験をフルに活かして“スタイリッシュ”な『書』を提案したいと思ったんです。

—どうして『書』を広げていきたいと思ったんですか?


ちょっと偉そうですが、殺伐した世の中の癒しになったらなって。
疲れている時に書に触れると、集中することで背筋が伸びて凛とした気持ちになるんです。「明日も頑張ろう!」って思えるような癒しの書を知って頂ければなと思っているんです。

普段は先生ではなくアーティストとして創作活動をされているんですよね。
   反響はどうですか?


こういった活動を一生懸命していると、ひょんな繋がりで様々な分野の方からオファーされて書くようになって。
それで、お部屋や事務所に飾って頂いている、と聞くと、とっても嬉しいのですが、今日のようなライブパフォーマンスを見て、歓声を送ってくれるお客様には一番感動してしまいますね。
一度、私とは無縁のように思える、B系(黒人HIP HOP系のファッションをした若者)の男性グループに、「かっこいいっす!」 と、握手を求められた時はうれしかったなあ。
『書』をコミュニケーションツールにしたい。っていうのが、私のひとつの目標だったので。

—コミュニケーションツールというと?どういう事ですか?

例えば、知人へのプレゼントに『書』を送るなんて素敵じゃないですか?
それに、依頼を受けた際、どんな書が希望か創作イメージを伺ったり、紙を選ぶことで、皆様とお話できることがすごく嬉しくって。自分にとってのコミュニケーションツールでもあるんです。

『かな』さんの笑顔に癒され、「明日も頑張ろう!」とクラブの外に出た時に思い出したが外は“祭り”だ。暑さは多少和らいだが、さっき以上の人混みで、少し歩くだけでどっと疲れた。東京では、癒しがいくつあっても足りないのである。

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『書家 かな』オフィシャルウエブサイト 
http://syoka-kana.jp/

ブログ
http://ameblo.jp/syokana/

(Written by 沢岡ヒロキ)