魔法といえば、『ドラゴンクエスト』や『ハリーポッター』などをイメージする人も多いのではと思う。しかし、なぜそれが日本の神社の名前になっているのだろうか?

おそらくは、魔法神社もこの魔法様にちなんだものなのだろう。この化け狸、名前は『キュウモウ狸』といい、魔法様の名前に相応しくただの化け狸ではない。なんと、宣教師達が日本に来た船に混じって渡来してきた、南蛮、つまりヨーロッパ出身の狸だというのだ。もっともやっていることは、人間に化けて村でイタズラをしたり、祭りの時に人間に混じって踊ったりする程度の、どこにでもある化け狸の伝承だ。犬などを使って狸狩りをすると、怒り狂ってその家に火をつけるという。この辺りも、実に昔話の狸らしい一面だ。

さて、その『魔法様』の由来としては、崇め奉る際に摩利支天の社が側にあり、『摩』利支天の『法』力からとった『摩法』が変化した物という解釈も地元の資料にあるという。一方、現在の『魔法』という言葉は、明治になって西洋の物語が日本に入ってきたとき、仏法に対して魔の力という解釈で作られた訳語だという。経緯を考えると魔法神社の名前の魔法と現在の魔法とは関係無いようだ。だがそれでも、南蛮から来たという狸が使う術は、考えようによっては今で言うところの「魔法」そのものいうことも出来るだろう。
魔法という言葉より先に日本にやってきた『魔法様』。南蛮渡来のキュウモウ狸は、まさしく魔法使いだったのかもしれない。
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(Written by 青山鉄平)