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100円バーガーや限定無料コーヒーの登場など、相変わらず激安の波が続くファストフード業界。そんな中札幌では、10円メニューを提供しているお店があります。
店の名は正福屋。
札幌の繁華街、7丁続くアーケードが目印の狸小路。ここに正福屋があります。元々この地は、ぱんじゅうの老舗店「十八番」があった場所。

20090910_02ぱんじゅうとはパンと饅頭の中間のようなもので、炭坑夫や港湾労働者等のおやつとして昭和20年代に札幌・小樽界隈で広まったお菓子のこと。高度経済成長期を過ぎ、需要低下と共にぱんじゅうを看板にしていた店が次々と畳む中、「十八番」は半世紀以上も、「狸小路の味」として市民に愛されてきました。店主が亡くなったことでお店は平成9年に閉店。
しかし「懐かしのぱんじゅうを食べたい」という要望の声が多く、それから10年後に当時の関係者からレシピを伝授してもらった現在のオーナーが「正福屋」をオープン。当時を知る人は懐かしく、知らない人でもどこか懐かしい餡子の味わいの虜になるファンは多く、10年のブランクを感じさせない人気店となっています。

このばんじゅうは50円。100円玉で2個も食べられるわけだからこれだってすごい訳だが、「正福屋」には1個10円のメニューが存在する。

その名はベビーカステラ。神戸の老舗店のレシピを忠実に再現した一品は、甘味があり生地も適度に堅く食べごたえもバッチリ。これが1個10円というのだから驚いてしまうしかない。
「元は取れているんですか?」と聞いてみると「いや、ほとんど利益は無いんだよね」とのお答えが。そりゃそうだよなぁ、仮に原材料が0円(そんなこと絶対無いが)でも利益は10円にしかならないのだから。
「安いからって原材料を落としたら、まずくなるのはわかっているから」とコスト的には高く付くが、ベビーカステラの甘味と旨さを表現するために北海道産小麦を100%使用。ここのこだわりは変えるつもりはない。
20090910_0310円という安さもあり、地元民や観光客など多くの人が連日ベビーカステラを買い求める。時には子どもが10円玉2枚に5円玉を4枚握り締めて「ベビーカステラ4個ください」と微笑ましい姿も見られるそう。材料費や光熱費の値上げによりさらにコスト的に厳しくなっているが、現時点ではベビーカステラの値段を上げることは一切考えていないという。
「10円玉握り締めて買ってくれるひとがいる限りは、その期待にこたえ続けたいですね」と語るスタッフは、取材中の短い時間に200個のベビーカステラを作り上げる。
目の前にドーンと置かれた200個のベビーカステラ。すげー。そしてこれ全部買っても2000円かぁ。すげー!

(written by みぞてたかし)

20090910_04正福屋

札幌市中央区南3西6-9
011-223-3588
11:00〜20:00
http://shofukuya.heteml.jp/pa1/