20090913_01

ぶどう畑にこんな目玉の袋が広がっているのを見たら、たいていの人はびっくりするのではないだろうか。一房ごとにかけられた、目玉の袋、袋、袋、・・・・・。明るい日差しの中でもキッチュな存在感抜群であるが、こんなの夜中に見てしまったら・・・・・、夢に出てきそう・・・。

この目玉の袋は、佐賀県のメーカーが20年くらい前に開発したもの。正式名称は、「ぶどう用掛袋」という。つまり、この袋は、ぶどうの成育中にかけるものだ。
ふつう「掛袋」といえば無地の袋なのだが、なぜこれは目玉なのか!?

そもそも「掛袋」というのは、果実が葉や枝やとなりの実とこすれあって傷つくのを防いだり、害虫や野鳥の被害から守ったり、病原菌が入るのを防いだり、見た目のきれいな果実にするために光の当たる量を調節したりと、実用的ないろいろな役割をもったものだ。だから、わざわざ目玉のデザインでなくとも、十分イイ仕事をしているのである。

で、この「目玉」デザイン。
このデザインは、とくに野鳥避けの目的で開発された。鳥たちは甘い果実が大好きなので、野鳥対策というのは、果樹園にとっての一大問題なのだ。
気になる効果のほどはというと、残念ながら「ビミョー」ということになるだろうか。野鳥対策といえば、他にもアルミ箔、CD、ビニールテープ、バルーン、かかし、てるてる坊主等々、ありとあらゆるものが工夫されているが、どれも決定打となるには至っていないのが現状だ。
それでも、この「目玉」デザインを気に入る果樹園は、毎年ぶどう畑を目玉で埋め尽くす。

たとえ、野鳥避けの効果が気休め程度だったとしても、「目玉」デザインの袋は脈々とぶどう畑に生きているのだ。出来の良いぶどうの目印にかぶせるといった使い方のほか、観光ぶどう園でぶどうの区別に使うこともあるという。ピオーネや巨峰など、いろいろな品種を分けるために、境目の枝の混みあっているところで目玉の袋が活躍したりするらしい。ぶどう狩りに行った先で、もしこんな目玉の袋に出会ったら、ちょっとワクワクしてしまいそうだ。

それにしても、なんだかこちらが見られているような気にさせる「目玉」たちである。
つげ義春ワールドとか「20世紀少年」とか、いろんな連想をかき立てる。イメージするのは個人の自由であるが、「二十世紀」で止めない方がいいかも。二十世紀といったら梨の品種になってしまうので。

(Written by S.aureus)

【Nicheee!編集部のイチオシ記事】
“多摩”に行くならこのサイト!?
切なさが心に響く・・・密かに”じわり”とブームの暮部拓哉
あのロングセラー商品も初めは新商品だった!「ヨード卵・光」に隠された秘話
ウェディングケーキはもう伸びないのか
徳島の森林で世界レベルの乗り物が!?